今月の本: |
『トニオ・クレーゲル』(トーマス・マン) |
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実施日時: |
2016年7月16日(土)14:00〜17:00 |
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今月の会場: |
サンライフ練馬 第二和室 西武池袋線中村橋駅 徒歩5分 |
参加費 : |
250円(会場費・資料コピー代に補填します) |
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懇親会 : |
終了後希望者で懇親会を行います(会費2500円程度) |
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物語の始まりは1900年代初めの北ドイツの町リューベック。
名誉領事であり裕福な商人を父に持つトニオ・クレーゲルは文学の趣味を持つ14歳の少年である。北ドイツ的な堅実な気質の父と、芸術家的な気質のイタリア出身の母を受け継いだトニオ。まじめな考え方を持ちながらも文学を愛する気持ちが強く、堅実で実務的な家庭に育つ子女が多いギムナジウムの中では同級生達に少し違和感を感じている少年であった。
その日トニオは、同じく裕福な家庭に育つ同級生のハンスと学校の帰り道に散歩の約束をしていた。トニオはハンスに対して特別の親愛さを感じていた。
ハンスは約束を忘れていたがそのことは取り繕って一緒に散歩をする。しかしハンスはトニオのことをさほど大切に思っていないのかありきたりな会話に終始する。トニオはハンスに寂しさを感じてしまうが言葉に出さずに別れる。
16歳になった頃、町の裕福な子女たちは専門教師についてダンスを習っていた。
トニオは一緒にダンスの練習をする一人であるインゲ・ホルムという少女を好きになる。しかしインゲはトニオのことは特別には思ってはおらず、ハンスに好意を持っている様子であった。
一方でトニオに心を寄せる少女もいた。しかしトニオの気持ちはインゲに向いていた。
ある日のダンスの練習でトニオは失敗をして皆に笑われる。笑っている人の中にインゲもいたことにトニオの心は人知れず傷ついたのだった。
やがて祖母、父が相次いで逝去し、一年後に母はある音楽家と再婚して町を去った。トニオは故郷の町を見捨てて各地の都会や南国で暮らしながら芸術と官能の道を歩んでいく。
作家として順調なスタートを切り次第に評価されるようになったトニオは、南ドイツのミュンヘンに住む。そこで知り合った女流画家リザベタに、芸術家でありながら父のような市民としての生き方もしたい心の葛藤を告白する。
リザベタとの対話の後、トニオはデンマークへ向けて旅行に出発する。
その途上で生まれ故郷のリューベックを訪れるトニオ。
様々な出会いと出来事の中で、トニオの心の葛藤はどこに向かっていくのか。
作者トーマス・マン自身の自叙伝的作品と言われる本書を、若き日の思いと思い重ねながら読み進めてみたいと思います。
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