プロセキュート
 ※第2期
【第12回実施内容】 ※通算34回
テーマ: ビジネス市場と企業の購買行動
実施日時: 2007年7月7日(土)14:00〜17:00
会場: 西武池袋線石神井公園駅・徒歩1分
石神井公園区民交流センター
【主宰者から一言】
前回は消費者市場にスポットをあて、その市場としての特性と、そこにおける購買者(消費者)行動を考察しました。
今回は、消費者市場以外のビジネス市場における購買行動について考えます。
ここでは、企業の購買行動を中心に、公共機関、政府機関等の市場も参照しながら、消費者市場との違い、企業の購買プロセスの特徴と決定にかかる要因、意思決定にいたる諸要因について、考察を進めたいと思います。
■当日の予定スケジュール
時間帯 テーマ・内容
14:00 〜 ビジネス市場と消費者市場
14:30 〜 組織中枢と関係者
15:00 〜 購買プロセスと調達プロセス
15:30 〜 公共機関、政府機関の市場
16:30 〜 消費者市場との類似性と相違性の視点から
■今回のポイント
「自分が従事している仕事は消費者相手のみだ」
そのように言う事業体であっても、ビジネス市場にまったく関わらないということは現実的にはありえない。
また、組織購買のあり方を検証することによって、つかみにくいとされる消費者市場を把握する一助にもなる。
ビジネス市場の特徴を把握しながら、消費者市場との類似点と相違点を見ることが重要である。
■主なテーマ

ビジネスは、取引から生まれる企業利益を最大化する、という考え方から互いのリレーションシップから生まれる相互利益を最大化する、という考え方に変わりつつある。

組織購買とは何か
定義:ある組織が購入対象となる製品やサービスに対するニーズを持ち、複数のブランドや供給業者の中から特定し、評価し、選択する意思決定プロセス。

■ビジネス市場の特性
ビジネス市場:製品やサービスを、他の製品やサービスの生産のために購入する。
別の組織に、自分の製品やサービスを販売(賃貸、提供等を含む行為)する。
1)少数の購買者
2)大規模な購買者
3)供給業者と顧客との密接なリレーションシップ
4)購買者の地理的な集中
5)派生需要
6)非弾力的需要
7)変動需要
8)専門的購買
9)複数の購買影響者
10)営業訪問回数の増加
11)直接購買
12)相互依存
13)リース契約の増加

■組織購買状況の3タイプ
1)単純再購買
2)修正再購買
3)新規購買
組織購買者の決定事項は、単純再購買において最も少なく、新規購買において最も多い。

■システム購買とシステム販売
システム購買:問題に対するソリューションを特定の販売者から一括購入する。
システム販売:システム購買者のニーズに対応する販売方法。マーケティングツール。
→1つのシステム、MROサービスを一括で売る方法(システム契約)
・顧客のメリット:売り手が在庫管理してくれるので経費を削減できる。
供給業者を選別する時間や手間を削減できる。
契約期間中は価格が一定する。
・売り手メリット:一定の需要が保証される。
書類作成等のコストを抑えられる。

企業購買プロセスの関係者
■購買中枢
購買中枢とは:購買組織の意思決定単位。
購買決定プロセスで何らかの役割を果たす個人とグループ。
目的と決定に伴うリスクを共有する。
1)発案者
2)使用者
3)影響者
4)決定責任者
5)承認者
6)購買担当者
7)窓口

売り手が把握すべき事項
・誰が購買決定に参加しているか
・各関係者はそれぞれどの決定に役割を果たしているか
・各関係者の相対的な影響力はどのくらいか
・関係者が用いる評価基準は何か

購買関係者への接触
・中小企業:購買への決定的な影響者との接触に集中する。
・大企業 :複数レベルの影響者への接触を図る。

■企業購買者への主な影響
1)環境的要因
2)組織的要因
3)対人的要因
4)個人的要因

購買プロセスと調達プロセス
企業購買者が製品やサービスを買うのは、利益を上げるため、経費を節減するため、社会的かつ法律的な義務を果たすためである。
企業購買者の購買インセンティブは、コストに対する知覚ベネフィット(知覚価値)の割合が高くなるほど大きくなる。

企業購買の3つの志向
1)購買志向
供給業者との個々の取引
供給業者との関係は希薄で衝突も頻発する。
購買者は短絡的で、駆け引きを駆使する。
@コモディティ化
Aマルチソーシング化
2)調達志向
品質改善とコスト削減を同時に求める。
特定の供給業者とより緊密なリレーションシップを築き、経費削減に努める。
ウィンウィンの関係を目指す。
3)サプライメネジメント
原材料が製品になって最終消費者に渡るまでの価値連鎖全体の向上を目指す。

■企業購買プロセスの諸段階
典型的な8段階(購買フェイズ)
購買クラス
新規購買 修正再購買 単純再購買
購買フェイズ 1. 問題認識 ある どちらともいえない ない
2. 総合的ニーズのリスト化 ある どちらともいえない ない
3. 製品仕様書 ある ある ある
4. 供給業者の探索 ある どちらともいえない ない
5. 提案書の要請 ある どちらともいえない ない
6. 供給業者の選択 ある どちらともいえない ない
7. 発注手続き ある どちらともいえない ない
8. パフォーマンスの検討 ある ある ある

1)問題認識
購買プロセスは、企業内の誰かが、特定の製品やサービスの獲得によって、解決できるニーズや問題があると認識した時点から始まる。
問題認識は社内、社外の刺激によって起きることが多い。

2)総合的ニーズのリスト化
必要な製品やサービスの概要的な特性(信頼性、耐久性、価格など)と必要数量を算出する。

3)製品仕様書
技術面の製品仕様書を作成する。
製品価値分析(PVA:product value analysis)を行なう。
→コスト削減のためのアプローチ。部品を詳細に検討し、設計変更が可能か、標準化できるか、より安く製造できるか等を判断する。

4)供給業者の探索
適切な仕入先を見つけるために供給業者を探索する。

5)提案書の要請
購買者は、適格と判断した供給業者に提案書の提出を求める。
提案書の評価の後、数社を選んで正式なプレゼンテーションを要請する。

6)供給業者の選択
購買中枢は、供給業者に求める属性を特定し、重要度をリスト化する。
独自の分析評価モデルを使用する。

7)発注手続き
最終的な注文内容の取決め、技術的な仕様、必要数量、希望納品日、返品条件、保証などの諸項目について確認し、契約を行なう。

8)パフォーマンスの検討
選定した業者のパフォーマンスを定期的に検討、チェックする。
1)エンドユーザーによる満足度評価
2)購買者自身による評価
3)購買者が、供給業者の劣悪なパフォーマンスによって被った余分なコストを集計し、価格と共に購買コストに算入する。
パフォーマンスの検討結果により、購買取引の継続、修正、中止を決定する。

購買フローマップ

公益機関市場および政府機関市場
■公益機関市場
学校、病院、老人ホーム、介護サービス事業、刑務所など
特徴:低予算で利用者が限定されている。
コストを最小限に抑えることばかりを目指すわけにいかない。
大口の仕事になる場合が多い。

■政府機関
特徴:外国よりも自国の供給業者を優遇する傾向がある。
政府支出の公表が義務付けられているため、膨大な書類提出が要請される。
政府は国内最大の顧客である。
政府の担当者が製品の運用法を指導する必要がある。

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