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わが社の強みを知って経営に活かす

「マーケティング・リサーチでは本当の声が聞こえてこない」?
あるビジネス誌にヒット商品を生んだ会社の話として、社長の談話が紹介されていた。
「マーケットリサーチや商品開発会議をすると、平均化された声が上がってくる。これに答えているかぎり、普通の商品しかできない」。
だから、10人に徹底的に話を聞き、本当に必要としているニーズを探れば、市場にはまったくない、新しい商品ができると考えた……。
そしてこの会社では見事ヒット商品を開発したというサクセスストーリーだ。 一見もっともらしい記事にも思える。
しかし、である。
「マーケットリサーチ(通常はマーケティングリサーチといって概念も広い)で平均化された声しか上がってこない」とはどういうことだろう?
マーケティング・リサーチを本業とする者としては聞き捨てならない。
しかも、「10人に徹底して話を聞く」のも、インタビュー調査という立派なマーケティングリサーチの手法であり、市場調査そのものなのだ。
まともな経験がない経営者の悲劇
悲しいことに、この会社では定量調査と定性調査の手法の違いもわかっていない。
まともなリサーチを行なった経験がないのだろう。
大手広告代理店に丸投げで任せてしまったか(彼らは大半を下請けに外注する)、 能力のない調査会社に依頼してしまったか、 はたまたよくわからないままスキルのない人だけで進めてしまったか。
いずれにしろ残念な、悲劇だ。
記事によれば、ヒット商品が生まれて業績も好転したようなのでひとまずは安堵した。

実際の現場でも「マーケティングリサーチなんて必要ないよ」という声を時おり聞く。
「我が社の技術は他社にはないから必ず売れる」
「リサーチなんてしなくても市場くらいわかるじゃない」等々。
とくに自ら事業を興された創業社長やベンチャー企業の代表、個人事業主の方にその傾向は顕著だ。
その一方でさまざまなマーケティング手法を駆使して現状を分析し的確な方策を講じている経営者も多くおられる。

前者と後者の違い。
それはどこから来るのか?
そして、本当に、マーケティングリサーチなんて、必要ないのだろうか。
あなたが仕事をする目的は何ですか?
プロセキュートでは、マーケティングリサーチを実施し、調査結果を踏まえた提案を出す。
経営者によっては、ときとして思いつきと感じる人もいる。
商品ラインナップの変更、店舗の改装、独自商品の開発、ネットショップでの売上向上、店頭プロモーション、広告露出の拡大、顧客管理の強化など。
予算と比較検討して、重点志向で実施していくわけだが、その必然性がわからない。
「我が会社では何故その方策なの?」というわけである。

私が答える前に、皆さんにお伺いしたい。
「あなたが仕事をする目的は何ですか?」
「何をめざしていまの会社やお店を経営しているのですか?」
マーケティング・リサーチは進む方向と方策を見つける手段。
どんな答が返ってくるだろうか。
私が直接聞いた答えには
「とにかく売り上げを伸ばしたい」
「儲かる商売がしたい」
「年商1億をめざしたい」といったものや「私の技術を世に出したい」「このアイデアで特許をとって商品化したい」といった声もあった。

しかしそんなことでビジネスとして成立するだろうか。
私達の答えはおおむね「ノー」だ。

「社会、消費者が求める価値を形にして提供する」。
これが私達の答えである。
つまり「何のための経営なのか」という問いかけがあって、それに答える形で常に消費者ニーズを探り、自分ができるものを提供していく。
これがビジネスの原点であると考えている。

この視点から、自分の会社やお店の置かれた現状を見ていくと、進むべき方向性と具体的な方策が見えてくる。
このとき、活かされるのが、マーケティングリサーチの様々な手法だ。
これが、プロセキュートが創業以来、マーケティング・リサーチを主業務として取り組んできた理由である。
まずは、やってみる。
経営者は、評論家になってはいけない。
しかし、傍観者になるのは、もっと重症だ。
一度も、マーケティング・リサーチをやったことがない経営者にとって、リサーチ費用は法外に感じることもあるだろう。
しかし、その成果を体感した人にとっては、経営の不可欠なステップであることに異論は出ない。
その違いは、何か。
まずは、やってみることだ。
経営の決断には、時とスピードが必要。それはリサーチの生命でもある。
( 1996.12 )

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