■導入事例 |
タンクの素材は合成樹脂等を標準仕様として、それ以外に設置場所によって木材、石材、耐水コンクリート等、様々な素材で施工を行います。
付帯設備として、配管、ろ過浄化装置や、貯留した水を利用する際に必要となるポンプや蛇口などが含まれて設備一式となります。
雨水タンク設置の導入例を参考に、製品のバリエーションを紹介します。
|
事例1:ワイン樽の再利用で自宅の庭をコーディネート |
|
これは今まで廃物となっていたワイン樽、オーク樽を庭のエクステリアとしても活かすことができるリサイクルのアイデアです。
最近は落ち着いた感がありますがワインブームの影響もあり、使用後の樽が廃物として出ています。耐水性にも優れたこの樽を天水樽として使用しようというものです。
個人のお宅の庭に設置したり、洋風レストランの玄関脇ディスプレイとして実用的に使っている例がいくつもあります。
庭木への水遣りなどは樽に溜まった雨水のみで年間を通して対応できます。
|
事例2:業務用トラックの洗車にかかる水道料金を削減する |
|
現在導入されているものの多くは災害時用の用水池としての機能に留まっているものも少なくありません。
降ってくる雨を積極的に利用しようというパターンのひとつが洗浄用利用。
事例は「業務用トラックの洗車」です。
自家用車にも利用できます。
小規模の物流センターや倉庫でも屋根面積は1000m2(平方メートル)以上のものが多くあります。1000m2とは例えば40m×25mです。この屋根の大きさで、どの程度の雨水が集水できるでしょうか。 下記表は東京都内の2002年の月別降水量です。(単位はmm)
|
青 梅 |
練 馬 |
八王子 |
世田谷 |
東 京 |
新木場 |
羽 田 |
新 島 |
神津島 |
1月 |
137 |
110 |
165 |
99 |
99 |
78 |
87 |
199 |
158 |
2月 |
22 |
24 |
23 |
22 |
25 |
26 |
25 |
64 |
65 |
3月 |
89 |
90 |
118 |
89 |
82 |
73 |
74 |
239 |
187 |
4月 |
63 |
60 |
62 |
63 |
58 |
53 |
56 |
125 |
124 |
5月 |
92 |
96 |
111 |
114 |
113 |
98 |
99 |
257 |
253 |
6月 |
150 |
167 |
171 |
173 |
151 |
142 |
163 |
429 |
392 |
7月 |
214 |
116 |
202 |
145 |
124 |
115 |
160 |
172 |
201 |
8月 |
309 |
169 |
268 |
263 |
120 |
139 |
156 |
394 |
462 |
9月 |
207 |
219 |
332 |
276 |
207 |
199 |
305 |
357 |
365 |
10月 |
277 |
189 |
307 |
211 |
195 |
134 |
148 |
177 |
187 |
11月 |
30 |
28 |
27 |
27 |
27 |
15 |
18 |
71 |
86 |
12月 |
74 |
86 |
86 |
74 |
95 |
70 |
73 |
138 |
128 |
季節によって違いが大きいこともわかりますね。
東京では平均して一ケ月100〜250mmの雨が降っています。
1000m2の屋根面積で100,000〜250,000リットルの雨水が集水できます。
この規模の物流倉庫で使っている業務用トラックを一回洗車するために必要な水量を平均300リットルとすれば、1ケ月で延べ333〜833台分の洗車ができる計算になります。
もちろん季節変動があるのでこの計算値通りにいかないとしても、月300回分以上の水道料金が節減できるメリットは大きいです。
所有または業務委託しているトラック台数が80台程度であれば都心部でも月4回までなら年間を通して全台数分の水が確保できる計算になります。
これを水道料金に換算すると年間50〜200万円のコスト削減ができる計算になります。
多くの物流倉庫では、ドックヤードが高床になっていたり、屋根部分の内側に空洞があったりとタンクを設置しやすくメンテナンスしやすいという環境も揃っています。
|
事例3:自宅にダムを作る |
|
近年、普通の住宅にも雨水を貯めるタンクを設置する人が増えています。 日本は年間を通して雨の恵みを受けることができる恵まれた国。上記の降雨量の表からもわかるとおり、わずか10uの屋根面積があれば自家用車の洗車に必要な水が年間を通して確保できる計算となります。
設置方法は簡単です。
雨どい部分から設置したタンクにパイプを引く程度の簡単な工事でOK。ホームセンターで材料を買い揃えて自分で日曜大工の感覚で作ってしまう方も多いようです。
もう一歩進めて、水洗トイレに利用している家庭もあります。 火災時の防火用水や渇水対策として設置を進めている自治体もあり、墨田区や香川県高松市などでは雨水タンクの設置に助成金が出されています。
|
事例4:山小屋に導入して水不足緩和を図る |
|
山小屋の維持していくためには飲用をはじめとする「水」の確保は不可欠です。
近くに水場があり、必要な飲料水を確保できる小屋もありますが、そうでない小屋での苦労も多く聞きます。 登山口に1〜2リットルサイズのペットボトルを置き登山者にボランティアで水を運んでくれるように頼んでいる小屋もあり、山腹の沢や雪渓からポンプを使って汲み上げている小屋もあります。
それでも水が確保できない山小屋では雨水を貯めて消毒して飲料水として使用している例も実際にあります。そこで課題となるのが集水のための工夫です。
きれいなままの雨水をなかなか思うように集められないのが現状です。
私たちの設備では屋根部分の集水で充分であればその部分で無駄なく設計を行って設置します。
しかし屋根部分だけでは必要な水が足りない場合もあります。
その場合は単独集水タンクを使って雨水を確保します。
またそうした設備を使うことで、消毒ではなく、ろ過装置中心で対応することが可能となります。
 
集水ポイントは山の斜面や道路沿いのU字溝、トイレの屋根など。
雨水を集水して露天風呂、トイレ、調理場に配水することが可能です。
地面に穴を掘り貯水槽を作る方法も広まってきています。
貯水槽は既存の素材を組み合わせて作ることができ、約10トンの貯水ができる大きさ程度で充分実用に対応できます。
実にローコストで自分達で自作もできる規模です。
こうした地下の貯水槽が作りにくい地域もあります。
その際は単独集水貯留型を置く方法を検討すべきケースも多いと考えています。
また山での導入では集水システムとあわせて排水や汚水を処理するシステムが重要となります。
今年(2003年)4月に自然公園法が改正され、NGOなどの民間法人が環境庁の認可を受けて管理団体として自然公園を管理することが可能となりました。
自然破壊の一因となっている屎尿処理については早急に改善されていることが望まれています。
1999年には山小屋などのトイレ整備にかかる費用の半額を環境庁が補助する制度がスタートしており、今回の自然公園法の改正とあわせて改善が一段と進むものと思われます。
3〜4つに分けられた処理槽を順々に通過させることで汚水を分解処理し、最終段階で嫌気性のバクテリアを利用して分解する方法等が一般的になっています。
電力や動力などが不要のシステムです。
ただし冬季はバクテリアが休眠するので最終処理が行われないため別途、処理槽を用意しておくケースが多いです。
ドラム缶状の処理槽内におがくずを入れて保温加湿して堆肥化するシステムも有効です。
トイレの汚物を処理するためには水洗が必要という固定概念を打ち破る特筆すべき事例でしょう。
大便に含まれる腸内バクテリアを活性化させて発酵分解を促進、余分な水分は発酵熱やヒーター熱によって蒸発。ヒーターの電源が必要となりますが、地域条件によって太陽光発電(ソーラーパネル)や風力発電によって確保することによって自己完結型の処理装置とすることができます。
私たちのプロジェクトでも、山小屋への導入時には、排水蒸発を行わせる設備を提供します。
|