プロセキュート
【第21回】実施内容
今月の本: 『夕鶴』(木下順二)
実施日時: 2006年12月23日(土)14:00〜16:00
今月の会場: 畑森宅
東京都練馬区東大泉5-1-7
※西武池袋線・大泉学園駅から徒歩10分
※小型自動車1台分の駐車スペースがあります。
「夕鶴」「子午線の祀(まつ)り」などで知られる日本の戦後を代表する劇作家・木下順二(きのした・じゅんじ)氏が今年10月30日に逝去された。
享年92歳。長寿を全うされた。今回取り上げる「夕鶴」は民話で語り継がれている鶴の恩返しをモチーフに木下順二なりのテーマを元に描かれている。

山本安英(やすえ)さんによる演劇は非常に有名になった。学校の演劇や放送劇などで取り上げられることも多かったように記憶している。国語の教科書にもよく載っていたので、何かの機会に触れた人も多いのではないだろうか。

日本古来の伝承民話を題材にした木下順二作品を今一度読み返してみました。
当日の様子: 山本安英さん主演、木下順二演出による公演を収録したカセットテープを佐藤秀男さんに持参していただき、いくつかの場面を拝聴しました。文章を読むのともまた違った新鮮な印象とともに、それぞれが抱いていた印象と異なる部分もあり大変興味深かったです。秀男さんありがとうございました。

木下順二氏が直接目にした「鶴女房」も全員で読み確認しました。順二氏自身も繰り返し述べているように、この「夕鶴」は民話劇というよりも鶴をモチーフにした全く違う作品と位置づけることが相応しいと思います。明らかに民話伝承ではなく、木下順二氏の思想的な個人的見解が登場人物のせりふになっていると思われる箇所がいくつか現れます。

少年少女時代に一度は読み、耳にした作品であると思われますが、なぜこの作品が教科書等に取り上げれられていたのかという点については賛否を含めて様々な意見が交わされました。

「」
与ひょうの純粋なこころを愛したがゆえに鶴はつうとして一緒に暮そうと思い、それができないがゆえに与ひょうのもとを去った・・・。
そのシナリオは鶴の恩返しではなく愛情物語でしょう。それはそれでひとつの小説でもありますが、鶴が恩を感じてその恩に報じようとすること自体はそれはそれで美しい行為だと私は思います。改めて否定する必要もないのではないかと感じました。

また、交わした約束を守れずに鶴であることの秘密を知ってしまった与ひょうとそれゆえに去っていくつう。世界各地の民話伝承や童話によく登場する秘密の暴露もしくはのぞくという行為。そこには真実を知るということに対極にある真実への秘密性、不可蝕性があるようにも感じます。

お金の話を始めるとつうは聞こえなくなるシーンや二人だけで生きていってほしいと与ひょうに懇願する言葉に木下順二氏はどのような思いを託したのでしょうか。
全面的に賛同できるわけではない作品と取り組むことによって、さらに思索が広がることを感じた一冊でもありました。

 http://prosecute.way-nifty.com/blog/2006/12/post_16f1_1.html

テーマ: 木下順二氏の経歴
戦中戦後の時代背景と創作にとりくむ思想的バックボーン
木下順二氏が作り続けた民話劇
民話劇最初の作品『鶴女房』
群読(ぐんどく)のきざし
民話「鶴女房」をモチーフにしながら異なった物語『夕鶴』
・ 人間の女房になる鶴を、はっきり山本さんのものとして書きたい
・ 単なる報恩譚としたくない
・ 本当のものを見分ける精神
東北、新潟を中心に伝わる口承民話「鶴女房」「鶴の恩返し」
・おじいさんおばあさんのパターン
・家族3人のパターン
・鶴がその姿のままで布を織り始めるパターン など多彩
二つの日本語のあり方と言葉が通じない異質な世界
民話に現れる「覗く」行為
つうはなぜ与ひょうのもとに来たのか
与ひょうの心の変化
つうの心の変化 など
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