司馬遼太郎は「あとがき」で執筆した意図を次のように書いている。
私はこの「峠」において、侍とはなにかということを考えてみたかった。
それを考えることが目的で書いた。
その典型を越後長岡藩の非門閥家老河井継之助にもとめたことは、書き終えてからもまちがっていなかったとひそかに自負している。
これが本作品のテーマであることは間違いないであろう。
また司馬氏はその直前で、幕末人を生み出した二つの要素として
1.人はどう行動すれば美しいかと考える江戸の武士道倫理
2.人はどう思考し行動すれば公益のためになるかという江戸期の儒教 をあげ...
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