この作品は一人称で書きすすめられていきます。
主人公の「私」は、ベトナム戦争の取材のためアメリカ軍の部隊に従軍します。部隊での日常生活を取材していた主人公は、ある日サイゴンでのクーデターの噂を聞き、自身の身の安全のためにサイゴンに戻って戦場の情報を収集したり日本人記者の仲間や愛人の素蛾(トーガ)と交遊しながら過ごしていきます。
しかし戦場へ赴く人達との出会いを通して「私」は再び戦場の最前線へ取材に行くことを決意します。
そして再びの戦場で彼が遭遇したものは...。
開高健氏が逝去して既に22年半余り。人によっては一時代前の作品と言われることもある作品。
そして現代は「戦争を知らない世代」が社会の重責を担う時代となりました。
戦場を体験したことがない世代の私たちが、日本ではない国で繰り広げられたベトナム戦争に従軍した作品から何が得られるのか。
敗戦から67年が過ぎた熱い夏に、人間として生きることを見つめる一冊として皆で読んでみたいと思います。
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