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プロセキュート
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第一回 第二回 第三回 第四回 第五回 第六回 第七回 第八回 挿話
《第一話》自社の進むべき方向性を活かすのがマーケティングの手法だ
有限会社プロセキュート代表取締役 畑森昭
 
1963年岡山県生れ。トステム物流株式会社勤務後、マーケティングリサーチ会社を経て1996年4月有限会社プロセキュート設立。マーケティングにとどまらず、経営全般のコンサルティングを実施している。
マーケティングコンサルタント。
今回から中小企業経営者の皆さんに即役立つマーケティング、個人でもできるマーケティングリサーチと方策の展開について話してみたい。まずはマーケティングリサーチは何のためにするのか……。



ヒット商品を開発する企業も理解していない

少し前のことになりますが日経ビジネスに2003年のヒット商品を生んだ会社の話のひとつとしてこんな記事が出ていました。

---濱田社長は語る。「マーケットリサーチや商品開発会議をすると、平均化された声が上がってくる。これに答えている限り、普通の商品しかできない。」だから、10人に徹底的に話を聞き、本当に必要としているニーズを探れば、市場には全くない、新しい商品ができると考えた。---

そしてこの会社では見事ヒット商品を開発したというサクセスストーリーです。一見もっともらしい記事に思えます。しかし・・・マーケットリサーチ(通常は「マーケティングリサーチ」と言って概念ももっと広い^^;)で平均化された声しか上がってこないって?「10人に徹底して話を聞く」ってそれもインタビュー調査と言って立派なマーケティングリサーチの手法であり市場調査そのものなんですけどね(^^ゞ

悲しいことにこの会社では定量調査と定性調査の手法の差もわかっていません。きちんとしたリサーチを行なった経験がないのでしょう。大手広告代理店に丸投げで任せてしまったか(彼等は下請けに外注することが殆ど)、能力のない調査会社に依頼しちゃったか、はたまたよくわからないままスキルのない人だけで進めてしまったか。いずれにしろ悲しいことです。
この会社でヒット商品を生むことができてよかったと思いますが、マーケティングリサーチを本業とする者としてこのような表現が無神経に媒体に載せられたことに少なからずの憤りを感じました。

確かに「マーケティングリサーチなんて必要ないよ」という声を時おり聞きます。「我が社の技術は他社にはないから必ず売れる」「リサーチなんてしなくても市場くらいわかるじゃない」等々。
特に自分で会社を創業された1代目社長やベンチャー企業の代表、個人事業主の方にその傾向は顕著かなと感じます。
その一方で様々なマーケティング手法を駆使して現状を分析し的確な方策を講じている経営者も多くおられます。

前者と後者の違い。それは何に起因するのでしょうか?そして本当にマーケティングなんて必要ないんでしょうか。

ビジネスの原点を活かす手法がマーケティング

昨年から今年にかけてある取引先会社の依頼で顧客分析を行ないました。「既に顧客が1万人単位で作れているのでリピータ作りに入りたい」というのがその会社の持っている意向でした。まずは現状を把握する意味からも顧客のクリーニングと層別のために郵送によるアンケート調査を行ないました。その結果からその会社や商品へのロイヤリティ等を元にして顧客を層別し複数のプロモーションを行なうシナリオを描いていました。しかし現状は大きく異なっていました。その会社で顧客だと思っていた購入者の殆どは購入意向を持っておらず、中には「何の会社ですか?」という反応も少なからずあったのです。

会社の中には相当の衝撃が走りました。しかし早い時点で現状が判明したことは次の方策を打つためにはよかったと思います。それから半年がたちますが、新規顧客獲得に方向を切り替え、新商品開発にも着手して企業体質も変わりつつあります。

少しここで説明をします。マーケティングリサーチを活用するステップは大きく2段階あります。

この会社で使ったアンケート調査は定量調査の代表的な手法です。また少ない人数の顧客等に突っ込んだ話を聞いたり、聞かれる本人も意識していないような潜在的なニーズを探る手法があります。インタビュー調査とかデプス調査に代表される定性調査です。これらによって得られるデータ以外に業界紙や各種団体によって公表されている調査データなどを収集することも非常に重要です。
これらの作業が「現状把握」です。正確に現状把握することができれば改善の8割は達成したとも言われるくらい重要な第一のステップです。

こうした現場での調査手法によって収集された様々なデータを集計分析することによって私達が求める方策が浮かび上がってくるのです。この際に重要なのが「分析」です。漠然と数字やお客様の声を聞いていても何も変えることはできません。実はここで重要になってくるのが分析の視点ですが詳細は割愛します。
これが2つ目のステップです。

この2ステップを経て具体的な方策へと連動していきます。
私が担当する会社やお店に提案する方策は様々に見えることがあるようです。店舗の改装、独自商品の開発、ネットショップでの売上向上、店頭プロモーション、広告露出の拡大、顧客管理の強化等々。もちろん予算が潤沢な会社ばかりではありませんので一つ二つ、重点志向で実施します。
その際「その会社では何故その方策なの?」というわけです。もちろん方策を実施する会社の声ではなくまわりの方の声です。

私の答えの前に皆さんにお伺いします。「仕事をする目的は何ですか?何を目指していまの会社やお店を経営しているのですか?」

どんな答えが返ってくるでしょうか。私が直接聞いた答えの中には「とにかく売上を伸ばしたい」「儲かる商売がしたい」「年商1億を目指す」といったものや「私の技術を世に出したい」「このアイデアで特許をとって商品化したい」といった声もあります。
しかしそんなことでビジネスとして成立するのでしょうか。私の答えは「ノー」です。

「社会、消費者が求める価値を形にして提供する。」これが私の答えです。つまり「何のための仕事なのか」という問いかけがあってそれに答える形で常に消費者ニーズを探り自分ができるものを提供していく。これがビジネスの原点であると思うのです。
この一点から自分の会社やお店の置かれた現状を見ていくと、進むべき方向性と具体的な方策が見えてくる。このとき活かされるのがマーケティングのさまざまな手法なのです。その具体的な内容については、次回からご紹介したいと思います。

(第1回終了)

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