《第四話》新たな発想を生み出す競合店調査 |
〔同一商圏内の競合店の調査は今後の方向性の大きなヒントに〕 |
有限会社プロセキュート代表取締役 畑森昭 |
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1963年岡山県生まれ。トステム物流株式会社勤務後、マーケティングリサーチ会社を経て1996年4月有限会社プロセキュート設立。マーケティングにとどまらず、経営全般のコンサルティングを実施している。 マーケティングコンサルタント。 |
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前回はアンケート調査でお客様から求められている自社自店の要望などを探ることを紹介しました。次のアクションとして自社自店の置かれている環境を調査しましょう。 |
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足を運んで自分の目で確かめる
置かれている環境を調べるといっても決してむずかしく考える必要はありません。店舗を経営されている方であれば自店の同一商圏内の他店舗を見て歩くことです。製造業であれば自社製品を取り扱っている販売店を見て歩きましょう。
ちなみに小売業の場合の一般的な商圏の大きさは次のようにいわれます。
第1次商圏 |
買物出向率70%以上 |
第2次商圏 |
買物出向率50〜70%未満 |
第3次商圏 |
買物出向率30〜50%未満 |
この商圏という考え方は「そのお店や商店エリアに購買人口のどのくらいの割合の方が買物に訪れるか」というお客様の居住エリアの大きさを指し、販売促進などのエリアマーケティングの基礎データにもなります。
しかし小規模店舗の現場の人間にとってはつかみ切れない実感のわかない数値かもしれません。このテーマは別の回で触れるとして、今回は自店に来られるお客様方が買物をしている他店舗を観察調査することでダイレクトに売れるポイントをつかんでしまいましょう。
観察調査を行なうエリアの目安は次のようになります。
(例) |
徒歩自転車中心地域 |
自動車中心地域 |
持ち帰り弁当・料理店 |
500m以内 |
1〜2km以内 |
クリーニング屋 |
500m〜1km以内 |
2〜3km以内 |
スーパー・食品小売店 |
500m〜1km以内 |
3km以内 |
ディスカウントストア・雑貨店 |
1〜2km以内 |
5km以内 |
その土地で商売をしている自分自身の現場感覚を信じてエリアを想定しましょう。
店頭での具体的なポイントとして、次のような点に気をつけながら見て歩きましょう。 (1)時間当たりの来店客と購買客数 (2)何が売れているか (3)買っていくお客様はどんな方々なのか (4)お客様の購買金額はどのくらいか (5)どのような組み合わせで購買しているか (6)どんな商品が並んでいるのか (7)新商品は出ていないか (8)類似商品や隣接カテゴリ商品の売れ筋はどうか (9)どんな販売訴求を行なっているか
時刻や曜日、天候など売り上げが変動する要因にあわせて何度か足を運ぶことです。すべてを確認できなくても構いませんし、回数を重ねるともれなく観察することができるようになります。自社自店に戻ったら、観察調査した内容を表にまとめていきましょう。
公開されている情報を収集する
店頭観察結果を補足する意味と今後の取扱い商品を考える基礎データとして公開されている業界情報などを収集します。インターネットを活用すれば充分な情報が収集できます。公開情報を収集するポイントは、大きな市場の流れのイメージと取扱い商品の仕様等をつかむことが目的ですので、具体的には自社の取り扱い商品カテゴリが今後伸びるのか、どのような商品仕様があり、説明がなされているのか、業界の動向はどうかなどです。
具体的には、自社自店で取り扱っている商品サービス名称でサイト検索を行ないます。近隣店舗を調べるのであれば、該当地域と業種名などで検索します(例:大阪市淀川区 自然食品)。もちろんヒット件数が多ければキーワードを追加して絞り込んでいきましょう。
また省庁などから出されている白書には業界動向なども出ていますので、何かあったら活用できます。
中小企業白書 http://www.chusho.meti.go.jp/hakusyo/ 農林水産省白書 http://www.maff.go.jp/www/hakusyo/hakusyo.html ものづくり白書 http://www.meti.go.jp/report/data/g40601bj.html 国民生活白書 http://www5.cao.go.jp/seikatsu/whitepaper/
以上のようにして自社自店を取り巻く環境を自分の目で確認することで自分自身でも新しい発想のきっかけが必ず生まれてきます。あせらずに次のステップに移りましょう。ではこうした環境のなかで自社自店は何ができるのか? 何をすべきなのか? 次回は自社自店の強みを自覚するというテーマで話を進めたいと思います。
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(第4回終了) |